25メートル
ガタンゴトン──数ある擬音のなかでこんなにも決定的に実態を表しているものってなかなかない。これを聞けば誰だって電車のことをいっているってわかるし、電車を擬音で表すなら誰もがこうやっていうだろう。
最近の都市部の鉄道じゃ、なんでもロングレールっていう長くて継ぎ目のないレールを多く使っているらしくて、そういえばこの決定的な擬音が耳に届いてこない。電車が走るスピードもものすごく速いからモーターの音とか風を切る音とか、走るために出る音が大きくて、ガタンゴトンすら気づかなくてね。
この前地方のローカル線に乗ってて、2両の、電化なんかされていなくて気動車で、ごろごろエンジンの音を響かせながら走ってた。レールもそんなにいいものじゃないから40キロも出すと横揺れしたりさ。
ガタンゴトンガタン
ガタンゴトンガタン
まっすぐの線路を小刻みに横揺れしながら走ってく。
そう、むかしみんなこういう音がしてた。むかしみんなこういうレールを使っててさ、確か長さが25メートルなんだよね。定尺とかいうの。25メートルのレールを車輪が刻む音ってこうなるの。ガタンゴトンガタン、ガタンゴトンガタン。
とても懐かしく思えて、味わい深くて。サイコー。